感情ことば選び辞典 物語
#01

こころのうた

感情ことば選び辞典

【夢中】
(のぞみ)は、心を(うば)われ、我を忘れている―
 
いつもと変わらない、それでも少しだけ、
(かわ)いた風が()き通る、小雪(こゆき)まじりの昼下がり。
彼女(かのじょ)は一冊の本を手にしていた。
『感情ことば選び辞典』
〝辞典を読む〟その時間は、視界にとどまる(しずく)すら透明(とうめい)に、
文字を辿(たど)る指先が、(かじか)むことすら忘れさせる。

【夢中】
(のぞみ)は、心を(うば)われ、我を忘れている―
 
いつもと変わらない、それでも少しだけ、
(かわ)いた風が()き通る、小雪(こゆき)まじりの昼下がり。
彼女(かのじょ)は一冊の本を手にしていた。
『感情ことば選び辞典』
〝辞典を読む〟その時間は、視界にとどまる(しずく)すら透明(とうめい)に、
文字を辿(たど)る指先が、(かじか)むことすら忘れさせる。

 
(一時間前)
 
「どうして、書けないの……」
化粧(けしょう)(おく)の、まだあどけなさも残るその(ひとみ)は、
今にも感情が(あふ)れ出しそうに(うる)んでいた。
 
感じたこと、見てきたこと、これからのこと。
歌詞に()めようとする〝伝えたい想い〟は、

 
(一時間前)
 
「どうして、書けないの……」
化粧(けしょう)(おく)の、まだあどけなさも残るその(ひとみ)は、
今にも感情が(あふ)れ出しそうに(うる)んでいた。
 
感じたこと、見てきたこと、これからのこと。
歌詞に()めようとする〝伝えたい想い〟は、

真っ白な雪に、足跡(あしあと)だけを()き上がらせる。
歌が上手なお母さん、音楽が好きなお父さん。
少女にとって〝うた〟は、みんなを笑顔にす
る〝おまじない〟だった。

真っ白な雪に、足跡(あしあと)だけを()き上がらせる。
歌が上手なお母さん、音楽が好きなお父さん。
少女にとって〝うた〟は、みんなを笑顔にす
る〝おまじない〟だった。

 

 

「どうして、分からないの……」
 
(この幸せな気持ちを伝えたいだけ)
(あの楽しかった思い出を奏でたいだけ)

「どうして、分からないの……」
 
(この幸せな気持ちを伝えたいだけ)
(あの楽しかった思い出を奏でたいだけ)

彼女は、自分の感情をどう表現すればいいの
か、過去をめぐる。
 
大人になるにつれ、広がってきた世界。
たくさんの出会いは、少女に色々な〝きもち〟を教えてくれた。
 
そんな思い出の数々は、
当たり前に口ずさんできた
〝魔法〟(おまじない)を連れ去ってしまう。

彼女は、自分の感情をどう表現すればいいの
か、過去をめぐる。
 
大人になるにつれ、広がってきた世界。
たくさんの出会いは、少女に色々な〝きもち〟を教えてくれた。
 
そんな思い出の数々は、
当たり前に口ずさんできた
〝魔法〟(おまじない)を連れ去ってしまう。

 
希は、家を飛び出す。
 
「見つけなくちゃ。わたしだけの、おまじない」
 
ずっと過ごしてきたはずなのに、その街並みは
どこか新しさを(まと)い、視界を走らせる。
ふと、目に留まる“ことばの世界”に彼女(かのじょ)は無意識に(いざな)われていた。

 
希は、家を飛び出す。
 
「見つけなくちゃ。わたしだけの、おまじない」
 
ずっと過ごしてきたはずなのに、その街並みは
どこか新しさを(まと)い、視界を走らせる。
ふと、目に留まる“ことばの世界”に彼女(かのじょ)は無意識に(いざな)われていた。

(本の(にお)い)
普段(ふだん)過ごすことのない静寂(せいじゃく)は、頭に(ひび)き続けていた声をかき消して、
心安らぐ、希望(のぞみ)を与える。
あたたかい空気は、冷たい耳を少し赤らめ、
その照れ臭さを(かく)すかのように、
彼女は、朱色(しゅいろ)の本を手に取った。
 
「好きって、こんなにたくさんあるんだ」

(本の(にお)い)
普段(ふだん)過ごすことのない静寂(せいじゃく)は、頭に(ひび)き続けていた声をかき消して、
心安らぐ、希望(のぞみ)を与える。
あたたかい空気は、冷たい耳を少し赤らめ、
その照れ臭さを(かく)すかのように、
彼女は、朱色(しゅいろ)の本を手に取った。
 
「好きって、こんなにたくさんあるんだ」

【好き】
 
愛好……
 
好意……
 
同好……
 
夢中……
思い()かべる笑顔たち。

【好き】
 
愛好……
 
好意……
 
同好……
 
夢中……
思い()かべる笑顔たち。

その(ほお)を優しく染める〝おまじない〟。
ただ純粋(じゅんすい)に、うたうことが好きだったあの日を思い出す。
 
その手には、『感情ことば選び辞典』が開かれていた。

その(ほお)を優しく染める〝おまじない〟。
ただ純粋(じゅんすい)に、うたうことが好きだったあの日を思い出す。
 
その手には、『感情ことば選び辞典』が開かれていた。

少女の知らない世界(ことば)
彼女の知っている世界(ことば)
 
文字を辿(たど)る指先は、(かじか)むことすら忘れている。
 
 
(のぞみ)は、(あふ)れる歌詞(ことば)をうたっていた。

少女の知らない世界(ことば)
彼女の知っている世界(ことば)
 
文字を辿(たど)る指先は、(かじか)むことすら忘れている。
 
 
(のぞみ)は、(あふ)れる歌詞(ことば)をうたっていた。

うたう 歌う/謡う/謳う
【歌う】
ことばに音楽的な節をつけ声に出す。
★童謡を歌う。
 
【謡う】
和歌や詩などにする。
★謡を謡う。
★民謡を謡う。
 
【謳う】
多くの人に知らせるように言う。
★主権在民を謳う宣言。
★効能を謳う。
★十年に一人の逸材と謳われるアーティスト。
 
『漢字の使い分け辞典』(2019)株式会社 学研プラス

うたう 歌う/謡う/謳う
【歌う】
ことばに音楽的な節をつけ声に出す。
★童謡を歌う。
 
【謡う】
和歌や詩などにする。
★謡を謡う。
★民謡を謡う。
 
【謳う】
多くの人に知らせるように言う。
★主権在民を謳う宣言。
★効能を謳う。
★十年に一人の逸材と謳われるアーティスト。
 
『漢字の使い分け辞典』(2019)株式会社 学研プラス

感情ことば選び辞典

「嬉しい」「悲しい」などの気もちの微妙な違いを表現しきれず,もどかしい--そんなとき,しっくりくる表現を探すために開く辞典。小説,シナリオ,歌詞などの創作にもぴったり。薄い,軽い,小さいの三拍子で,いつでもどこでも使える。